「ちょうどいいDX」を
実現するPalette.
停滞した日本にシステムの力で
エナジーを与え、
より多くのお客様をハッピーにする。
●目次
システム会社の炎上発生率を
80%下げ、
営業利益を2.8倍に
したツール
Palette.はもともと販売を想定したものではなく、
社内の業務を効率化するために作られた社内ツールでした。
なぜ、Palette.が今の形になったのか、その歴史を紐解いていきます。
誕生秘話
大阪支社から
「炎上」をなくしたい
Palette.の原型が作られたのは、2014年のこと。新たに就任した大阪支社長と、統括部長が出会ったことがきっかけです。
当時の大阪支社は決して良い環境といえる状態ではありませんでした。開発プロジェクトの炎上が多発しており、対応に追われる社員は疲弊し、会社としての利益率も伸び悩んでいました。
この深刻な問題を解決すべく、支社長と統括部長の主導のもと社内調査を実施しました。
調査の結果、日次や週次のプロジェクト報告を怠っているプロジェクトは、業績や品質に問題が生じ、炎上に繋がっていることがわかりました。さらに、日次や週次の報告内容やその管理方法はプロジェクトごとにバラバラであり、プロジェクト間の異動が困難になっていることも明らかになりました
これらから、大阪支社の炎上発生の根本原因は、
- 「プロジェクト責任者が開発プロジェクトの全体像を把握できていないこと」
- 「報告された情報を管理する仕組みがないこと」
の2つであるという結論を出しました。
そのため、炎上が発生する確率を下げ、社員の労働環境を改善し、企業の利益率を向上させることを目的に、炎上を組織的かつ仕組みの力で防止するプロジェクトを発足しました。このプロジェクトが、結果的にPalette.の原型を作ることになります。
品質管理チームの誕生
プロジェクトが発足した当初から、システム化により解決をはかる構想はありましたが、まずは組織体制とルール整備を通して改善を目指すことにしました。
はじめに行ったのは、開発プロジェクトの品質担保を専門とする「品質管理チーム」の設置です。品質管理チームは、全社の開発プロジェクトを監視し、問題が発生しそうであれば適切なサポートを行う全社横断組織です。監視するためには、全社の情報を一元管理する必要があります。
そのため、各プロジェクトの責任者に対して、品質管理チームにプロジェクトの状況報告をするよう求めました。
しかしながら、発足当時の品質管理チームはわずか2名の組織です。メールを使って各プロジェクト責任者から報告を集めていましたが、100を超えるプロジェクトを管理するのは現実的ではありません。
そこで、報告のフォーマットを決め、Google formとスプレッドシートを活用した管理に移行する方針を取りました。品質管理チームの業務効率化を図ることはもちろん、余計な作業を減らし、事業伸長のために社員のリソースを最大限振り向けることを狙った転換です。
「良くない報告」にこそ
価値がある
しかし、単なる仕組化だけでは炎上防止の効果にはつながりませんでした。
そもそも、炎上を予防するために重要なのは、プロジェクトに関する「良くない情報」を吸い上げることです。これは、経営層だけでなく、部門長や責任者の共通見解でもありました。
しかしながら、実務に当たる社員にとって「良くない報告」はできれば避けたい報告です。品質管理チームの設置以前から、炎上が発生したとき、その原因究明と再発防止のために調査をする仕組みがありました。
ただ、渦中の社員にとって、この調査は負担でしかありません。なぜなら、いくら理由を説明しても、目下の炎上の解決に向けたサポートが得られるわけではなかったためです。
そればかりか、炎上した事実だけが全社に共有されるため、社員の前で叱責されてしまうという印象を持っている社員も少なくありません。「よくない報告は、しない方が得」という共通認識が、炎上の発見を遅らせる原因になっていたということです。
社員が進んで「良くない報告」を上げる状況を作るためには、社員同士の関係性が良好であり、心理的安全性が保たれていなければなりません。
つまり、社員同士の関係の質を向上させなければ炎上は防げないということです。
「良くない報告」を
してくれて“ありがとう”
改善に向けて私たちが取り組んだのは以下の3つです。
- 経営陣が「良くない報告」を上げてくれれば必ず助けると表明する
- 「良くない報告」をしたメンバーの行動を評価し、感謝を伝えるよう促す
- 「日報」を通して悩みや課題を打ち明ける習慣を作り、社員同士の会話の量を増やす
当初は反発も多く、日報や週次のプロジェクト報告の提出率は20%程度で、期待する効果は得られませんでした。経営陣が地道に「報告をしてくれてありがとう」という感謝を伝え続けることで、徐々に部長や課長にこの取り組みが浸透していきました。
社員も、助けてもらえるメリットを好意的にうけとめ、次第に日報を通して「良くない報告」が集まるようになっていきました。結果として、プロジェクト開始から1年足らずで日報の提出率は90%まで向上し、炎上の予兆を捉える体制が確立しました。
社内グループウェア
「」
社員同士の関係の質が向上し、報告する習慣が根付いてくると、この取り組みをより良くしたいという声が集まるようになってきました。
代表的な声は「報告に対する返信の簡易化」です。
当時活用していたGoogle formは、集計が容易なものの、個々の報告に対して返信できない問題を抱えていました。
そのため、責任者は相談をしてくれた社員に対して、個別にメールする必要があり、時間がかかります。この時間を削減したいという要望を多く貰っていました。
これらの要望を叶えるため、2018年に社内報告を集約するシステム開発が検討されました。当時、このような機能を持ったツールは世にありませんでした。
私たちの本業はシステム開発だということもあいまって、自分たちの使い方にあったシステムを内製で作ることになります。こうして、Palette.の原型となる、社内グループウェアが誕生しました。
社員も、助けてもらえるメリットを好意的にうけとめ、次第に日報を通して「良くない報告」が集まるようになっていきました。
結果として、プロジェクト開始から1年足らずで日報の提出率は90%まで向上し、炎上の予兆を捉える体制が確立しました。
もちろん、実装した当初は「管理が面倒」「これ以上作業を増やすな」といった反発もありました。 しかし、一度Palette.を使ってみると、その簡単さや便利さを評価する社員が多く、責任者からは「日報が見やすくなった」「もうメールベースのやり方には戻れない」といった ポジティブな声を貰うことができ、徐々にPalette.は社内に受け入れられていきました。
「営業利益が2.8倍!」
だけではない
Palette.の浸透により、社内のコミュニケーションが一層活発になっていきます。
パンデミックの影響で急速にテレワーク化が進んだ2020年以降も、いつでもどこでも見られるPalette.が、社員同士を繋ぐ架け橋になりました。
結果として、炎上の発生確率が80%以上押さえられ、営業利益は2.8倍に伸長したことは、Palette.の初めての成果として十分すぎるものでした。
実は、Palette.がもたらしたものはこれだけではありません。
例えば、役職者が社内の状況を細かく見られるようになったことです。 メールでの報告が主流だったとき、各メンバーの報告を見られる社員は限定されていました。 一方、Palette.では社員の投稿は社員全員に公開されます。 さながら、全社員をCCに入れてメールを送るようなものです。
これまで社員の日報を見ることができなかった役職者が、各メンバーの報告や、それに対する上長の返信を見るようになりました。 「素晴らしい成果だね」「さらにこの観点をプラスすると良いですね」というコメントを残す役職者もおり、社内の風通しが非常に良くなりました。
また、一緒に仕事をしたことがない社員同士が相談し合えるようになりました。 Palette.はSNSのように興味のある社員をフォローする機能があります。
役職や部署が異なる社員同士であっても、日報のコメントを介して繋がれるようになったため、コミュニケーションをとる心理的なハードルを下げることに繋がっています。
このように、社員同士のコミュニケーションの頻度と質を上げられたことも、Palette.が劇的な効果を発揮するに至った要因だと考えています。
を
サービス化したきっかけ
社内グループウェアとして、利益率を向上させることを目的に作られたPalette.。当初は、これをサービスとしてお客様に提供する予定はありませんでした。
2018年に経済産業省は「DXレポート」にて、「2025年の崖」というキーワードを提示し、日本の近い将来に対して警鐘を鳴らしました。
システナはSIerとして、この課題にどう立ち向かっていくべきかを常に議論してきました。
事業の柱である開発請負やシステムインテグレーションに加え、自らシステムを作り、世に価値を提供していくことは、その課題の解決手段の1つになると考えていました。
システナは創業当初から、お客様や社会に必要とされる存在となり、日本と世界の経済発展に貢献するために尽力してきた企業です。
先行きの見えない日本経済に対して、新しい価値を提供することこそが、システナのあるべき姿です。
2020年からはじまった新型コロナウイルスの感染拡大は、Palette.を世に出すきっかけになりました。
Palette.をはじめ、社内で活用されている複数の業務改善ツールをパッケージ化し、同時平行でテストマーケティングを行いました。
Palette.はテストユーザー様からの評判が良く、改善効果を提供できたツールであったため、2020年11月30日に正式リリースをすることになりました。
商品化に向けた課題
世にあるSaaSと同じかもしれませんが、UI/UX、パフォーマンスの調整、マニュアル整備など、お客様に提供するからこそ重視しなければならないポイントがいくつもありました。
しかしながら、他のSaaSと明確に異なる点が1点あります。それは、実際に社内で大きな成果をあげた実績を持つツールであることです。
発想はプロダクトアウトかもしれませんが、必ず自社でテストをし、効果があった機能だけを磨きこんでサービス化しているため、
多くのお客様がそのまま使える形で提供できる状態にあったことが、商品化までの時間を大幅に短縮できた要因だと考えています。
なお、まず自社で使ってみて改善効果を確かめる、というプロセスは現在の機能開発にも活かされています。
が
目指す世界観
「ちょうどいいDX」で
停滞した日本経済の
発展に貢献する
VUCAの時代といわれる現在、日本経済の様々な領域にデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せています。
今後も継続的かつ柔軟にお客様のニーズに応え続けるためにも、私たちは変わらなければならないと考えています。
これまでのシステナを形作ってきた「システムインテグレーター」技術・知見・経済動向を踏まえ、お客様のDX化を推進する「サービスインテグレーター」の立場を併せ持つ企業として、
お客様の組織活性化を支援して行くことは、その第一歩だと考えています。
Palette.には様々な機能があります。しかし、全てのお客様がPalette.の機能をもれなく活用できることが重要だとは考えておりません。
そして、企業の課題も様々です。企業の状況に合わせてちょうどいいDXを実現することこそが重要です。
だからこそPalette.というサービスをユーザーに応じて柔軟に変化させ、全ての企業がDX化を肌で感じられるようにしていきたいと考えています。
IT企業の課題を解決する
グローバル
プラットフォームへ
日本の成長にはITの力が不可欠です。
一方で、日本のIT企業は様々な課題を抱えています。
例えば、大規模なシステム開発では、様々な開発会社がエンジニアを出し合い、プロジェクトとして進めることがほとんどです。
ときには、海外の企業との連携も必要になります。このようなプロジェクトの管理は非常に煩雑であり、非常に労力が掛かります。
私たちは、Palette.ならこの問題を解決することができると考えています。
国内外のIT企業をPalette.で繋ぐことができれば、開発の進捗状況やエンジニアの稼働状況をPalette.で一元管理することができます。
そして、多忙なプロジェクトマネージャーを助けるだけでなく、IT企業の生産性の向上にもつながると考えています。
だからこそ、私たちは多言語対応やAPI連携など、利便性を高める開発を精力的に続けています。
私たちは、今後もより多くのお客様を幸せにし、日本、ひいては世界の経済発展に貢献できるよう、日々研鑽を続けてまいります。